根が深い。

自己愛を手なずけたい人へ。

ベートーヴェン交響曲第九番と人間らしさ

人間らしいですね、と言われることが昔から多かった。とても気に入っていて、自分も人間らしいなと思うひとが好きになっていった。

 

ベートーベンは耳が聞こえない状態で交響曲第九番を書き上げ、リハーサルをこなし、初演を行なった。たいそうひどい演奏だったらしいが。

第9番はヨーロッパでもあまり演奏されることはない。日本が特殊で、特にソロは、日本のソリストの方がよく歌ってるという意見もある。

あの曲は気が触れた変人が耳も聞こえなくなって書いた駄作であるという酷評もあるけれど、いずれも楽曲を正当に評価したといえる批判に出会ったことはない。ベートーベンの人生をマイナスに踏まえすぎなだけなのだ。楽譜を読め。紛うことなき名曲である。彼の人生があの曲を産んだことは事実であって、しかし人生は楽譜には乗らない。楽譜を読め。そして、楽曲とは別にして、私は彼のように生き様を散らかした人間が、人間として好きでもある。

 

私の父は、脳梗塞で倒れてから、泣きやすくなった。母は脳の後遺症かなといってたけど、いや私に受け継がれてるのですけど。元々です。と思いながら、そのときはハハハと笑った。

父は笑い始めると止まらなくなる。横隔膜がコントロールできないんだろうか。笑いすぎて戻したこともある。これはこれで、幸せの一つの形なのでは。ガハハ。

 

人間らしいものに触れると、世界に彩りが加わります。それが奇々怪界なものであったとしても、人間らしいものには生命力があります。生命力。