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根が深い。

ネアカとネクラな世界を行き来する陰陽師。

映画『ムーンライト』を見た感想

ララランドと間違えられた(笑)、ムーンライトを見てきた。信頼する友人に勧められたのだ。そそのかされるのは、昔から嫌いじゃないのよ。

 

特にネタバレをするつもりはないのだけど、他人がどういう感想を持ったかが、見る人と作品との関係に影響を与えることがあると思う。先入観。

 

だから、他人に映画や本を勧めるときは「見てほしい」「好きだと思う」「いいよ」くらいしか言わないようにしてる。理由を突きつけられると、勧められた理由/勧めた人が期待している(と勘ぐってること)との対峙になってしまうから。

 

 

それはそうと、作品の感想だけど、とても形容しがたい。言い換えると、「彼"に"何か言いたいけど言えない」のだ。

 

主人公になんて声をかけてあげたかっただろう。彼と共有できる言語を探している。それを望んだ作品かどうかはわからない。彼"を"他人と共有する言葉を持ちたいとは思わない。そうはさせてくれない。

見た直後は、そう感じる作品だった。

 

見てから数時間が経ったところで、もう少し踏み込んだ感想が出てきた。以下、大いにネタバレを含む。

 

私は「何かのスピンオフみたいだな」と感じる映画が好きなのかもしれない。例えば、この映画の登場人物はみんな『ER緊急救命室』という海外ドラマに出てきそうなのだ。ヤク中の母も、その子供も、ドレッドの不良も、金歯のギャングも全員ERでてきそう。

 

ERは、医師たちを主人公に置き、命の現場にあってスピーディかつパワフルで多様に、人々の人生が展開されていく。(そういえばERで、老人ゲイのカップルの片方が末期ガンになり、その最期を見届けようとするときに突然家族が現れて、引き裂かれるっていう回があったのを思い出した)

『ムーンライト』は、そんな物語の1つにフォーカスして、緩やかに展開を見つめているような作品だった。そのメインストリームじゃない感が、ちょっと好きだ。

 

つまりその、作品には固有の「流れる速度」があって、時間の速度と、人の心が変化する速度。

その速度に寄り添いたい感覚の強さが、「見てよかったかどうか」を決めているんじゃないかと思う。